援交。 アナザーストーリィ2 |
えにしだ |
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「お前、援交してんのか?」 大して酒に強くないくせに、まずいと文句を垂れながらいわゆる第3のビール(しかも国産じゃない、ジュースより安いやつ)を一人で3本空けた兄 関寧が、座った目でそうのたまった。 「…え?」 それは余りにも唐突で、疑問型でありながら実のところ断定的だったその言葉に、関平はわかりやすくうろたえたてしまう。 すると兄は聞こえよがしにハァー、とため息を零してみせた後、厭味たっぷりに「やっぱりな」と言った。 「な、なんだよ、まだ何にも言ってないのに!そんなコトするわけ」 慌てて否定しようにも取り付く島もない。 「あーあーうるさい。黙れ。ごまかそうったって無駄」 「だって兄ちゃん!」 「…平、お前…。身体売るとかどうかしてるだろ。なんでなんだよ」 「か、身体売るって」 その明け透けな言いように顔が赤らむのが自分でもわかった。 「違うし!」 「じゃあ何だ。マダムとエロいデートしたんじゃなきゃ変態相手に生パンツ売ったのか」 「ちょ、な、なんで僕がそういうことしたってことになってるんだよ」 「だって怪しすぎるだろ。ウチはこんな貧乏でお前の学費も払いきれんのに、なんでお前最近ブランドもんの靴やら鞄やら」 「う…」 その点については否定が難しい。関平は言葉を探した。 「そ、それは…あの、く、くれる人がいるんだよ」 「ハァ??」 「だ、だから!もらったんだもん」 「誰に」 「…」 もらったというのは嘘ではない。買い与えてくれたのはもちろん関羽で、関平との身体の関係に対する見返りの贈り物というよりは、恋人関係にある者として可愛がられているからこそ買い与えてもらった品々と解釈しているが、果たしてそれを兄に説明できようか。 兄は関平の沈黙を嘘が行き詰まった故のものと決めつけた。 「…やっぱり出どころが後ろめたいんだろうが。金持ちババアに身体いいようにさせてまで金が欲しかったのか?」 「違う!」 「何が違う。お前、恥ずかしくないのか?!」 「だから違うってば!お金目当てじゃない、ホントに好きなんだもん!」 叫ぶように言ってから失言に気付いた。 「…」 「…」 兄は新しいビールの缶のプルタブをプシュ、と開けた。 「…まぁウチはお袋が早くに死んじまったからお前も寂しい思いをしたかもしれんけどさ、それにしても…お前、いつから熟女好きになったんだ?」 「…」 熟女好きになった覚えなど一切ない、とは言う必要ないだろう。 4本めに入り、兄はますます雰囲気がやさぐれてきた。 「なぁ、お前そんなに羽振りがいいならひょっとして俺より金持ちなわけ?」 「…」 「何だよ、何とか言えよ。なぁなぁ、平。兄ちゃんにもおこぼれないのか?」 「に、兄ちゃん、飲み過ぎじゃない?なんか変だよ、今日」 「変?…ああ、そうだよ、変だよ!!」 兄が突然怒り出し、関平は恐ろしくなった。 「兄ちゃん…」 「そりゃ変にだってなるだろ!クソッ、俺が何したって言うんだ、これ以上仕事減らされてどうやって食ってけってんだ!!」 兄の虫の居所が悪い原因には同情するが、関平にとってはとんだとばっちりだ。 これ以上被害を受ける前に退散しようと腰を上げたところを、二の腕をぐい、と掴まれた。 「痛っ!離してよ」 「なぁ、平。兄ちゃんに小遣いくれよ」 「な、ないよ、兄ちゃんにあげるようなお金」 「何だ、みんな使っちまったのか?じゃあもういっぺん稼いで来いよ」 「やだよ」 「ああ?なら父さんに報告だよな。学校にも通報しちゃうぜ〜」 優しかったはずの兄の、こんな顔は見たことがない。 「やだ、やだよ」 「お、そうだ。こないだ会社でバイの奴が金出してでもヤリてぇとか言ってたな。お前、兄ちゃんの小遣いのためにいっちょ掘られてみっか」 「絶対やだ!兄ちゃん、何言ってんだよ!!」 兄は関平の腕に痣ができるほど強く掴んだまま、ケータイで通話を始めた。 「よぅ。お前今日ヒマだろ?ウチに今すぐ来いよ」 「やだってば!」 関平が叫ぼうが暴れようがお構いなしに兄はどんどん電話の向こうと話を進めていく。 「…じゃあな」 通話の終わったケータイを放り出すと、兄は電話をかける前よりも更に目が座っていた。 一言もなく、いやがり暴れる関平の頬を殴った。 軽い脳震盪を起こし、ぐらりと体が傾いた関平の頭を捕まえると、口元に焼酎の瓶を宛がい関平の鼻をつまむ。 「!」 ゲホゲホ噎せても喉の奥を焼くようなその液体全てを体内から吐き出すことは不可能だった。 腹の中がカッと熱くなり、脳震盪とは別の眩暈がする。 「あ…」 崩れ落ち、記憶が途切れた。 「マジでいいのか?お前の弟じゃねぇの?」 「んだよ、ヤるのかヤらねぇのかどっちだよ」 「ヤるって」 「じゃ前払いな」 ぼんやり霧がかかった意識に、夢であればいいのにとしか思えない内容の会話が聞こえてくるが、関平は身を起こすどころか腕を上げることもできなかった。 「…ん…」 身をよじってはじめて自分が素っ裸で畳に転がされていることに気付いた。 「!!」 腕が上げられないのは両手首を背面で縛られているかららしい。無理に引っ張るとニチャニチャ音がするのはガムテープだろうか。 しかも口にも何か布切れを突っ込まれた上からガムテープが幾重にも貼られ、ちょっとやそっともがいたくらいでは剥がれそうにない。 絶望的だった。 「んー、んー!」 兄ちゃん、と叫んだがその声はひどく篭って、部屋を出て行った兄に届くものにはならなかった。 「へぇ〜、可愛いおケツしてんじゃん」 男が関平の両尻たぶを手の平で包み、揉む。 「ん、ん!」 全身をくねらせて逃げようとすると、そうはさせじと男は手を関平の前に伸ばし急所を掴んでそれを阻んだ。 縮こまった関平のものは先端の敏感な部分ばかりを爪先でカリカリと引っ掻かれる。痛すぎる刺激に腰がびくびく跳ねた。いや、最初は確かに痛みだけだったはずなのに。 「っ!」 「ん〜、その気になってくれた?」 いかにも軽い男の口ぶりに腹が立ったが確実に引きずられつつある。 男は関平を抱き起こすと、座らせた関平の身体を後ろから抱え、さらに両手を関平の前に回して関平のものを弄り始めた。関平の両脚は開かされて男の両膝の外に置かされており、閉じることができない。 「キミ、敏感なんだね」とかとか「ココ、まだあんまり使ったことないのかな?」とか恥ずかしすぎることばかり始終鼻息荒く囁きかけられる。 しかも素肌の尻に男の固くなったものが当たっているのが殊更気持ちが悪い。 …パパ!パパ! 関平は心の中でひたすら大好きな関羽を呼び続けた。 こんなところに助けに現れてくれるはずはなく、それを期待してのことではない。貞操を守れなかったことを詫びる気持ちももちろんあるが、心の中いっぱいに関羽を求めているのがどうしてか、関平自身にもはっきりわからなかった。 「うー…」 ついに鈴口への執拗な刺激に身体が降伏してしまった。ビュク、ビュクと勢いよく吐き出された液体は、段取りよく宛がわれたティッシュペーパーにすっかり拭い取られた。 男はちゃぶ台の上から兄の置き忘れていった焼酎の瓶をとると、くったり脱力した関平の股間にそれをぱしゃぱしゃ振り掛ける。 「っんー!」 冷たさに驚いたのもつかの間、男に弄りたおされたそこがカッと熱く燃えるように感じ、関平は目を見開いた。 爪先でしつこく擦られたそこに度数の高い酒がしみる。 …痛い?熱い? よくわからない。 ただ間違いないのは酒が塗り込められると、今まで経験したことがないほどそこが過敏になって不覚にも途方もなく気持ちがいいのだ。 二度目の射精はすぐだった。 「…っ、…」 口をガムテープで塞がれているため足りない酸素を全て鼻から取り入れなければならず、絶頂後の息苦しさがいつもの比ではない。関平はゼェゼェと肩で息を継いだが、頭が酸欠でいつまでもくらくらする。 男は朦朧としている関平の身体をひっくり返して俯させると、濡れた指で関平の尻の蕾をちろちろくすぐった。 「!」 極まって弛緩した身体は、習慣的にさらに続けての後孔内の快感を期待して、この見知らぬ男の指先を喜んだ。 …嫌だ!嫌だ!この人は大好きなパパじゃないのに!! 俯す関平の鼻筋に涙が伝う。男は後ろを探るのもそこそこに自分のものを関平の尻に宛がうとぐぐ、と体重をかけてそれを押し込んできた。 「…っ!」 気持ちでは精一杯拒んでいるつもりなのに、ずず、と澱み無くそれは関平の身体の中に呑み込まれてゆく。そして絶対に気付かれてはいけなかったその事実が、男に知られてしまった。 「…あれ?もしかして」 …やだやだ、言わないで! 「へー。こっち、すごい慣れてるんだ〜」 顔が見えなくてもわかる。間違いなく男は顔を気持ち悪くニヤつかせながら、関平を恥じ入らせようとしている。 しかし関平の気持ちとは裏腹に関平の内部は男のモノを食み、引き込もうとうねった。 「キミ、どこでこっち覚えたの?このこと寧も知ってるわけ?」 兄の名を出され、関平は戦慄した。 …絶対に、絶対に兄に知られたくない。 不自由な体勢だが懸命に振り返り(なにせ口が塞がれているので男にはウーウーという唸り声にしか聞こえなかっただろうが)絶対に兄に言わないで欲しいと首を振り訴えた。 「…へー。そーゆーこと?」 男はますますにんまり唇を歪めると、遠慮なく腰を動かし始めた。ぐちぐち濡れた音とぱん、ぱんという乾いた音が同時に上がる。 しばらく後に体の奥に飛沫が注がれる感覚がした。それで関平自身までもが達したわけではなかったが、呼吸ができないせいか体中からドッと汗が吹き出すような感覚に襲われる。 「…、…」 男は必死に鼻だけで息を継ぐ関平を見下ろした。 「苦しい?外してあげようか?」 虚ろな目で見上げると、男は関平の口元のガムテープをゆっくり引っ剥ぐ。そして言った。 「…お兄ちゃんには内緒にしといてやるから、もっといっぱいイイコトしような?」 「…」 体がどうかなってしまったみたいだ。 特に腰周りの感覚はよくわからない。 男に事あるごとに「寧には内緒にしときたいんだろ?」と強請られ、最終的には後ろ手に縛られたガムテープもすべて剥がされたが、男の要求してくる、関羽にしかするつもりのなかった行為も恥ずかしい体位も、何一つ拒めなかった。 おまけに男は関平のケータイ番号を勝手に自分のケータイに登録し、「今度は兄ちゃんに内緒で遊ぼうな」と言い残して去って行った。 「…」 一刻も早くこの汚らわしい記憶とベタベタするものから体を清めたいが、もう指一本ですら動かすのが億劫だ。 関平はただぼんやり横たわっていた。 どのくらい時間が経ったのか、兄が帰ってきた。 部屋の入口の襖を開けるなりひどい臭いに顔をしかめ、裸のまま起き上がれずにいる関平に軽蔑の篭った眼差しを向けた。 「…父さん帰って来る前になんとかしろよ」 …それだけ?そんなことだけなの、兄ちゃん。 そして部屋を出て行きざまに兄はこちらを振り返りもせずに付け加えた。 「…さすがに毎週やれとまでは言わねぇけど、まあ、兄ちゃんの小遣い、また頼むわ」 |