学園パロ
    牛乳の彼。
           えにしだふう様 ご投稿作品
 
 
 クラスメイトは皆手近な机をガタガタとくっつけて、弁当を広げ始めた。
 関平は3限の前に早弁したせいで足りなくなった昼食を補うのに購買で焼きそばパンと牛乳を買った。
 今日はツイてる。
 ひとりでに頬が緩む。
 焼きそばパンは購買では大人気でなかなか手に入らないプレミア商品なのだ。

「せーんぱいっ!」

 教室の入り口から弟が顔を見せた。義弟は学校では関平のことを必ず先輩と呼ぶ。

「索、また来たのか?!」

 別に弟が自分を訪ねてくるのが嫌なわけでも迷惑なわけでもない。ただ弟だって関平ばかりとじゃなく、彼自身のクラスメイトと昼食をとって親しい友人たちとの交友を深める機会にしたほうがいいんじゃないか、と心配になるだけだ。
 関索は関平の問いかけにはただにっこりと笑顔だけを返し、また今日も「牛乳、ひとくちください」と言った。
 遠慮しなくても、先に飲んでいいから、といつもやんわりは言うのだが、関索は関平がまず口をつけてからでなければ欲しいとは言わない。
 関平はそんな時、もしも自分が関索の本当の兄なら、もっと親しく、いやいっそ図々しくねだってくれるんじゃないだろうかと、一抹の寂しさを感じる。

 今日こそは、もっとちゃんと、はっきり言おう。
 そう決めた。

「索、拙者に遠慮なんかするな。先に飲んでいいから」

 すると索はぽかんと不思議そうに関平の顔を見つめ返して、言った。
「…だって。先輩の後に飲まなきゃ間接キスにならないじゃないですか」