学園パロ
    スケッチブックの彼。続編
           朝日の案山子様 ご投稿作品
 
 
 兄上ー、と甘えるように弟がまとわりついてくる。嫌な予感がする、と関平は時計をみた。夜の12時。関索がこんな声を出してくるというのには、たいてい何かの頼みごとがあるときだ。
「なんだ?び、美術の課題は手伝わないぞ!」
「今日は家庭科です・・・。ここからエプロンをつくらねば」
 しょぼんとした顔で、関索が布っきれをだしてくる。ひどい。そもそも線さえひいていない。
「なぜこんなになるまで黙ってた?!」
 なきそうな顔の関索をみれば、関平は結局続きをいえなくなる。母親がいればまだいいが、いない。手伝ってくれる者もいない関索が、関平は少し哀れに思えくる。土台、関平は弟に甘いのだ。
「今回だけだぞ?!」
 だかだかとミシンをふみ、見る間に仕上げていく。関索が関平をみつめる。その視線が尊敬の眼差しのように思われて、関平はふふんと鼻をそらした。
「わあい兄上!ありがとうございます!」
「兄を見直したか、関索?母親とは斯様な、」
 言いかけた関平を、関索は一言でうちのめす。
「はい!お嫁さんにするなら兄上にします!」
 「兄上のような」ではなく「兄上に」という言葉に、病の深さを感じるのは、さて、誰であるだろうか。