桃色蜜夜 |
えにしだ |
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平はまじめで素直な好青年ですが、とってもえっちなんです。 大好きな父上と毎晩欠かさず励みます。 「あっ、あっ、アアッ…」 父上は平よりももっともっとえっちなので、今夜も二人は愛を育みます。 平はいつも自分ばかりが乱れてしまうのが不満であり残念でもあるのですが、父はそれでよいと言うのでまあいいか、なんて思っています。 「平のいやらしい顔を眺めるのが儂の楽しみぞ。隠さず見せよ」 大好きな父上にそんな風に言われると平はますます桃色のキモチになってしまいます。そうしてとろける腰を力強く揺り動かされて幾度となく極まるのでした。 「はぁ、はぁ…」 熱い息を吐きながら二人は見つめ合いました。 ああ、なんてしあわせな時間。 父が身体から出ていくのがたまらなく名残惜しく、父の子種が零れぬよう平のお尻には自然にきゅ、と力が入りました。 「…全く、困った子だ。儂を放すまいと絡み付いて来おる」 そんなことを言われても平だってわざとそうしているわけではありません。恥ずかしくて目を伏せました。 父はさらに言いました。 「平。お前のようにいやらしい良い子には褒美をやらねばな」 そうして取り出したのは小ぶりの短刀でした。しかしどうしたことかそれには肝心の刃はなく、柄だけなのでした。父は柄の尻の部分をとんとん、と叩いて見せました。 「ここに、何があるか知っておるか」 平だって武将として父に帯同する日々ですから知らぬ訳はありません。通常刀の柄には万が一敵方に落ちた時の為に自害に必要な量の毒薬が仕込んであります。しかし父は薬を詰めるための空洞を別のもので満たしておりました。 「さて。善き声で鳴いてみせよ」 そう言うと父はおもむろに先ほどまで己を埋め込んでいた場所に刀の柄を逆さに突き立てたのです。 「父上!な、何を…」 散々父に解された平のそこは異物さえも緩やかに呑み込みました。 「くっ、ん…」 柄に施された彫り物は、本来は滑り止めであり装飾でしたが今はただ平を酷く苦悩させるものでしかありません。細かな凹凸は父がそれをほんの少し動かすだけでとてつもなく内部を刺激します。 「…んう、…ふっ」 平が眉を寄せて苦しげに身をよじる姿に父は愛しさを募らせました。 「きついのか。よし、滑りをよくしてやろう」 そして息子の陰部に香油を無造作に振り掛けました。とろとろと流れ落ちた液体は燭台の光をきらきら纏いながら内股から陰嚢、身体の中に一寸ほど潜り込んだ短刀の柄までを濡らしました。父の大きな掌で香油を塗り込められるとほんのり熱をもった平の恥ずかしいところはどこもかしこもじんわり熱くなります。 「…父上…」 前をいじってもらえるわけでもなく、後ろにも熱くも冷たくもない、しかも太くも細くもない刀の柄を差し込まれて、平は切なく父を呼びました。どうしようもなく物悲しいのです。 「…いかがした」 それなのに肝心の父はいつまでも知らんぷりを決め込んでいます。 …せめてこれを動かしてほしい。そうでなければせめて、せめてもっと奥へ。 毎夜の情事で父の大きさ、激しさに慣れてしまった身体にはこのような仕打ちは辛いだけでした。しかしそれを口にするのは躊躇われ、平は潤んだ眼で悲しく父を見つめ続けておりました。 「…平。いかがしたのだ。言うてみなければわかるまい?」 …嘘。嘘でしょう?父上。本当は平が父上に何を求めているのか、お分かりなのでしょう? どんなに心で叫んでも、父は動こうという気配はありません。関羽も知っているのです。平が、焦らされれば焦らされるほど感じてしまうことを。 ついに耐え切れなくなった平のお尻がひくひくと動きました。父はそれを見、しかし顔色も変えずに言いました。 「…はしたない尻だ」 そうして中途半端に入り口だけを犯していたそれをぐぐ、と奥深いところまで押し込みました。 「あ、ああぁ…」 平の狭い後口の中はすでに何度となく受けた父のもので滴りきっておりましたから、父が刀を出し入れする度ににちゃにちゃと水音が漏れ聞こえました。 ひとしきり単純な上下の方向だけに刀を出し入れしていた関羽でしたが、息子が穏やかな快感にうっとり満足気なのを見てやがて次第に腹が立ってきました。 …呑気なものだ。しかしまだ‘時’ではない。 柄に仕込まれた媚薬は、平の体温と内部を満たした液体とによって溶解させられねば、さらにそれが粘膜から吸収されねば分を果たしません。今暫くの時を待つ必要があります。 「…平。具合がよいのか」 父がすぐそばにいながら自分一人だけで快感に浸っていた平は、はっと我に返りました。 「は、はい、とても。とてもようございます」 「であろうな。そのように自分だけで楽しんでおる様子では」 「申し訳ございません!」 慌てて跳び起きると尻に刀の柄を突っ立てたまま、父の赤黒い枝にしゃぶりつきました。 かがんで尻を高く掲げると時折内部のあらぬところに柄の先が当たるらしく、父のものを舐めしゃぶっている間中も平の腰は頼りなく揺れるのでした。 しかし、ある時から息子の様子が変わりました。 気がそぞろになり舌遣いがおざなりになっています。それでも父の太いものを口に含んだまま堪えているので鼻息は荒く、唾液が溢れて父の先走りと混じって垂れ落ちました。触れられていない尻が落ち着かぬ様子で動き始めています。 …来たか。 関羽はニヤリと頬を歪めました。 「平、いかがした。こちらが疎かになっておる」 「は、…申し訳ありません」 再び口淫の続きをしようにも頭がくらくらして何も考えられないのです。父のたくましいそれが欲しくて欲しくてただしゃぶりつくのですが、父を悦ばせる方法が何も思い浮かばず、普段どうやって父の精を誘っていたのか思い出すこともできません。 「…あの、ち、父上…」 関羽は素知らぬ顔で息子の癖の少ない素直な黒髪を撫でておりました。 凶悪に天を衝く棍棒を両手の平に包み込み、その丸みを帯びた先端から唇にかけて粘液がつつ、と糸を引いた息子の上目使いに、父は雄を激しくたぎらせました。さらにかさをまし脈動に合わせてびく、びくと跳ねる陽根を息子は食い入るように見つめています。 「…平。欲しいか」 はっ、と父を見上げ、平は生唾をごくりと呑みました。 「だが、そなたの尻には既によいものが入っておろう」 言われ、今更初めて気付いたかのようにそろそろ尻に手をやります。 自分の指先が双丘の間に覗いた刀の鍔にほんの少し触れただけで、平の肩が跳ねました。 小指の爪ほど動かしただけでのけ反るぐらいに感じてしまうのです。 尻が、奥の奥まで熱くてたまりません。 …いつの間にこんなことに。 何か、何かがおかしいとわかってはいてもそれが何に因るのかまでは気がゆかぬ程、平の思考は滞っているのでした。 「う、ぁ…」 一度そこに差し込まれたままのものに気付いてしまえば、もう底無しに快楽の頂点を目指す身体を留めることなどできません。平は父の眼前であることさえ忘れて、手を後ろへと回しました。始めは遠慮がちに、次第に大胆に尻に差し込まれた刀の端を掴み動かしました。 「ああっ、奥、奥に…」 どれほど突いてもさらに奥が疼くような気がして仕方がありません。薬によって過度に沸騰させられた身体はもはやこんな道具では鎮められないのです。 ようやく自分ではどうにもできないと悟った平は縋るべき存在を思い出し、自分の行動全てを興味深げに静観していた父を呼びました。 「父上、どうか…」 「欲しいのか」 「は、はい」 「そのままでは入れられぬではないか」 「はい…」 そう答えると、平は脚の間からにょっきり突き出した刀の柄を力の入らぬ指先でゆっくりと引き出しました。 「ううンッ、はぁ…」 何度か寝台に崩れ落ちそうになりながら、しかしなんとかずるりと全て引き出すと、腹の奥がぽっかりと空いたようになり、その虚しさに耐え切れず平は父の身体にのしかかりました。敬愛する父上を押し倒し、その体にのしかかるなど自分はなんと不届きなことをしているのだろう。己のしていることながら畏怖に眉于を寄せる平に対して、関羽は興味津々といった様子でおとなしく押し倒されるままになっておりました。 「…次はいかがいたす」 面白がってさえいるのです。 「…」 平ははあ、はあ、と荒い息を吐きながら父を跨ぐと、いきり立つ父のものを手で支えてそれを己の後口に宛がいました。 後はゆっくりと腰を下ろすのみです。 「あ、あ、ああ…」 何度か腰を振り、揺すり入れるようにして全てを挿入し終えると、そこは初めから納まるべきであったかのように父のものを包み込みました。 「はぁ…」 恐る恐る太腿に力を込めて身体を持ち上げ、そうして再び腰を落とします。 父のものにぴたりと吸い付いた平の粘膜は、引っ切りなし震え、熱い滴りを零しておりました。 「…父上、っ…お、お加減は、よう、ございますか」 「うむ。よい締まりだ」 その言葉に安心し頷くと、平は力を振り絞るようにしてもう一度腰を持ち上げました。 …どうしよう、こんな、こんな…き、気持ちが良すぎておかしくなりそうだ…。 ざわざわと肌が粟立ち、全身から汗が吹き出してきます。 父の陰茎が抜け落ちそうなぐらい、ぎりぎりまで腰を引き、しかし、それが限界でした。 「あ、あ、…」 菊花周りの繊細な皮膚がずるりと引きずり抜かれた父の括れとその先の張り出した部分に触れた時、堪え切れず平の身体は白濁を放ちました。 「ううっ…!」 がくりと弛緩した平に父は容赦なく告げます。 「平。まだだ」 「は、も、申し訳、ございませぬ…」 しかしもはや腰は持ち上がりそうにありません。 「…くっ、ち、父上…」 「何をもたもたしておる」 「しかし…」 「このまま動けばよかろう」 父は下腹部に乗ったままへたり込んでいる息子の腰と己の腰を押し付け合うようにして揺すりました。父のこんもりと硬く縮れた茂みに、張り詰めた陰嚢がざりりと擦られ、平は掠れた喉で喘ぎました。 「ああぁ…」 まるで父の身体を使って自慰をしているようでした。もちろん父関羽も息子をいいように放っておくだけで飽き足らず、さらに平を追い立てんとずくずくと下から煽り、さらには柔尻に五指を突き立てたり、とろとろと汁を零す息子の尖端を意地悪く引っ掻いたりしたのでありました。 平は、何度も果てました。 大小様々な波に弄ばれる小舟のように快楽の荒海に理性を失い、ようやく身体の火照りから解き放たれていることに気付いた平がうっすら瞼を持ち上げると、視界いっぱいに父が見えました。 「…父上…」 父は息子を守るかのようにその身体を大きな腕に抱き込んでくれておりました。 …父上のおおきなうで。あたたかい。 すう、すうと父の静かな寝息が続いているのを聞くに自分は長らく意識を失っていたようです。 平は心の中でそっと父に語りかけました。 …父上。平は、父上と共に身体の熱と欲を分け合う時間も好きですが、こうしてただ静かに寄り添っているだけでも、こんなにもこんなにも幸せなのです。 平はそおっと父上のおひげに触れました。平の大好きな、父上のおひげです。平にとっては、誰よりも立派で誇らしい父の偉大さの何よりの象徴が、その長くつやつやしたおひげなのでした。 …ねぇ父上、父上もですか。父上も、平とずうっと一緒にいたいと、そう思ってくださいますか。 無言の問いに答えるかのように父は平の身体を引き寄せ、強く抱え直しました。 それはまるで父が決して離しはせぬと自分に誓ってくれたようで、関平はふくふくしたあたたかい気持ちで再び眠りについたのでした。 |