龍と微睡む
           あき様 ご投稿作品
 
 
体にまとわりつく重みと暖かさに意識がふと覚醒した。
何回かまばたきをして、関平は目を開いた。


視界いっぱいに黒いものが見えたが、起きたばかりの関平には、それが最愛の父・関羽の立派な髭だとすぐに気が付くことができなかった。


自分のすぐ側に大好きな関羽が眠っていることに嬉しくなった関平は、関羽の髭にそっと触れてみた。眠っている関羽を起こさないように、そうっと。

関平は髭に触れるだけでは物足りなくなり、髭から首筋へ、そして顎や唇にも指を伸ばして触れてみた。

「父上…」
指先から関羽の体温や息遣いが伝わってきて、関平の中の関羽への想いが溢れてきて、胸がきゅうんとなった。


「ん…?」

関羽は、自分の身に起きている不自然さに目が覚めた。
不自然さの源を確かめようと、瞳を動かして、関平が自分の身にしがみついているのに気が付いた。

「関平、どうしたのだ。朝からさように甘えるなど、珍しい」
からかうように関羽は言い、胸に顔を埋めている関平をこちらに向かせるため、手のひらで関平の滑らかな頬に触れた。
関平は、関羽の大きな手のひらの感触を感じ、関羽の手のひらに自分の手を重ね、ゆっくりと見上げると、そこには穏やかな表情の顔の関羽がいた。
「父上…」
「どうした」
尋ねながら、関羽は関平に口付ける。関平の性格そのままのようなまっすぐな髪の毛に、出会った頃と全く変わっていない純粋な瞳に、自分が触れることの気持ちよさを教えた唇に。

「んん…」

関平の唇から声が漏れる。


深くなる口付けを繰り返しながら、関平は思っていた。


自分の持てる力の限りで父上を支えよう。父上のお側でいつまでも、いつまでも。


寝所で抱きしめあって口付ける二人には、起き上がる気配はまだない。