援交。 アナザーストーリィ    孔明×関平★
           えにしだふう様 ご投稿作品
 
 
「ああ、上手ですね」
 ソファにくつろいだ教頭の脚の間にうずくまり、関平は彼のスラックスの窓からそびえるものを懸命にしゃぶった。
 関羽の巨大なものをくわえる時のような苦しさはないが、かわりに関羽のものにするときのような幸福もない。
 教頭の長い指先が関平の耳朶をくすぐっていた。
「もっと裏を、そう…。嫌々舐めていてはいけませんよ」
 早く終わって欲しい、と思った途端そう指摘され関平は落胆する。仕方なくそれを喉の一番奥に届くほど深くくわえ直し、自分の頭を控え目に動かした。
「ん、うぐっ、ふぅッ…」
 苦しくて、目尻が濡れだす。自分の変な声と鼻からの息が恥ずかしかった。
 次第に教頭自身が関平に腰を何度も押し付けるように素早く動かし、「飲みなさい」と言い置いてからそのまま関平の喉の奥に射精した。

「はっ、はっ、…」
 苦いものを無理矢理飲み下し手の甲で口許を拭う関平をソファに上がらせると、教頭はさらに要求した。
「自分でしてみせなさい」
 にっこり笑う整った顔が今は冷たく恐ろしい。
「自分で、って…」
「それともこのまますぐに挿入してもいいんですか?」
「…あっ!」
 膝を押し拡げられ、制服のズボンの股間から尻の方へ、つつ、と扇子の固い先端で辿られると布越しと言えども体がぴくぴく跳ねてしまう。
「…」
 絶望的になりながら関平は靴を、それからズボンを脱ぎ、教頭に見つめられながらトランクスをも脱いだ。
 シャツは着たまま、靴下も脱がずに急所だけを晒す格好は、全裸よりよほどふしだらでいけないことをしている気持ちになる。
…パパ。
 関平は瞼を閉じると、大好きな人を想像して乗り切ろうと思った。
…パパなら、いつもここを触ってくれる。
 シャツの中に左手を入れて自分の胸の先を力を入れて摘み、ぴりりとしてきたところを捏る。
 この異常事態に緩くは勃ち上がっているもののなかなか濡れてこないペニスの先端から僅かに滲んだ蜜を、逆の手で塗り込める。
「うぅっ…」
 当然のことながら教頭の目の前では快感を思うように得られず、すぐに関平は前を諦め両脚をぎりぎりまで開いて自分で自分の後ろの入り口を弄った。
 もちろん見せたくて見せているわけではないが、関平が積極的に恥態を見せることで「もうその辺でいいでしょう」とか教頭に情けを掛けてはもらえまいか、などという淡い期待がなかったこともない。
 しかし予想通り、期待は淡く、そして甘かった。
「ほう…」
 凝視する教頭の視線と愉しそうな声に、頭に血が上る。
「んっ、んっ…」
「恥ずかしいことをすると余計に興奮するタイプですか?さっきより濡れてきていますよ」
 蜜が垂れ始めていることを指摘されると格段に恥ずかしい。関平は慣れない後ろへの自慰を続けるが、どうしてもいつも関羽がしてくれるように上手くはできなくて、身をよじった。
 傍観していたはずの教頭が突然そこに指を潜り込ませてきた。
「あ、あぁっ?!」
 指は長さを活かしどんどん一番奥を目指す。根元まで埋め込まれた指を細かく振動させられ、関平の唇から高い声が上がった。
「んあっ、教頭先生、や、やめてください!」
「やめる?取引をやめるんですか?」
「違っ…ああんっ、ダメっ…!」
 他人の指による粘膜への微細な刺激に、義務的に準備を施していただけだったはずの身体に不覚にも官能の火が灯ってしまう。関平の身体は関平の意思とは無関係に、より熱いものの挿入を待ち侘びて教頭の指を喰んだ。
「かわいそうに、物足りないのでしょう」
 そう言うと教頭は抜き身のモノを関平の後ろに添えた。
…やだ、やだ、やっぱりパパ以外の人とはしたくない!
「ま、待って、やめてください」
「いまさらやめると思いますか?」
「ダメ、入れないで…あ、やあぁっ!」
 関平の願いも虚しく挿入は果たされた。
「…ッ、これはなかなか…病み付きになりそうな締まり具合ですね」
 教頭の張り出した部分が出入りする度に敏感な場所を掠める。関平は完全に直立し快楽の証を零す浅はかな自分の身体を恨んだ。
 激しく暴力的に抱かれるならまだ精神的な苦痛は少なくて済みそうなものを、教頭は厭味な程ゆっくりじっくりと関平のなかを嬲った。
「んうっ、はふ…」
 感じたくなんかないのに。
「あ、あぁ」
 声だって出したくなんかないのに、どうすることもできない。

 キーンコーン…
 突然校内にチャイムが響き渡った。午後の授業の始まりを報せる鐘だ。
「!!」
 驚き、息を飲み、関平は身をすくませる。
「ッ…!」
 関平の締め付けに教頭が喉を鳴らした。
「きょ、教頭先生…もうっ、授業始まっちゃう!」
「どうせあなたはこんな状態では授業など出られませんよ」
 押し付けた腰を関平の弱いところに向けてさらに突き上げ、直立した関平のものを指で弾いて教頭はなじった。
「あぁっ…!」
 大好きなパパ以外の人に感じさせられイカされそうになっている自分がたまらなく許しがたい。
 関平は射精したくなくて、懸命に自分の前を握って耐えた。
 教頭がそれを見てまがい物の優しい声で話し掛けてくる。
「まだまだじっくり愉しみたいのですね。いいでしょう、付き合ってあげますよ」
「違うっ、違います!お願い、もう早く、終わって…!」
 すると、あからさまに興が冷めたという声でため息混じりに教頭は言った。
「…ならば自分でも動いてごらんなさい」
 関羽との最中は意識などしなくても夢中で関平も腰を振っているものだが、いざ「さあ動け」と言われてもぎこちない動作にしかならない。しかも快楽に抗っているこの状況ならばなおさらだった。
 不満気な教頭は矢継ぎ早にもっと動きなさい、もっと後ろを締めて、と勝手な要求を幾つも突き付け、ようやく関平の身体の奥を熱い液体で濡らした。



「…次も途中でつまらぬことを言うようなら交渉は決裂したと思いなさい」
「つ、次?!」
「当然です。あなたはその男性との援助交際をやめる気はないのでしょう。ならば口止め料も払い続ける。当たり前でしょうが」
「そんな…」
「嫌なら構いませんよ。その時は」
「いえ!あの、その…」
「そう。物分かりの良い子は好きですよ」
 嘘くさい笑みを浮かべて関平の頬を撫でると、身支度を整えた教頭は指導室を出て行ったのだった。
 
 
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